陣痛を乗り切る「いきみ逃し」のコツとは?

出産の際には、赤ちゃんが出てくるのを補助するために「いきむ」必要があります。しかし、いざ産まれるというタイミングまでは、陣痛を「いきみ逃し」で乗り切らなければなりません。では、いきみ逃しとは具体的にどのようなイメージで行えば良いのでしょうか。今回は、いきみ逃しとはなにか、やり方のポイントについて解説します。
目次
いきみ逃しとは
いきみ逃しとは、子宮口が全開大(約10cm)に開くまで、陣痛中にいきまないようにすることを指します。子宮口が開ききる前にいきんでしまうと、産道が傷つく原因になるなど、スムーズなお産を阻害する原因になりかねません。子宮口が全開大になっていないにもかかわらずいきみたくなってしまうのは、赤ちゃんの頭が徐々に下りてくることが要因だといわれています。
いきみ逃しのタイミング
いきみ逃しは、どのようなタイミングで行えば良いのでしょうか。ここからは、いきみ逃しのタイミングとサポートの重要性について紹介します。
いきみ逃しを行うのは「分娩第一期」
分娩が進む過程は、分娩第一期~第四期に分かれています。そのうち、いきみ逃しを行うのは「分娩第一期」です。分娩の第一期は、子宮口が徐々に全開大に広がっていく途中の時期で、子宮口が全開大になっていよいよ赤ちゃんが生まれてくる第二期までの期間にあたります。
子宮口が全開大になるまでいきまないようにするため、いきみを「逃し」ます。子宮口が全開大になって第二期になれば、いきみが許可されることが一般的ですが、お産の経過などによって異なるので医師や助産師の指示に従いましょう。
サポートも重要
いきみ逃しは、いきみたくなってしまうのを受け流して、子宮口が開ききるまでの時間を待たなければなりません。強い痛みを感じる陣痛の最中は、パートナーや立ち会う人のサポートも重要です。赤ちゃんが下りてくることで痛みが生じやすい腰をさすったり、尾てい骨あたりを強く圧迫したりしてもらうと軽減できる場合があります。
また、テニスボールやアクティブチェアなどを利用するのもおすすめです。本人が一番楽だと感じられることを試しながら、分娩までのいきみ逃しをサポートしましょう。
いきみ逃しのポイント
ここからは、いきみ逃しを行う際のポイントやコツについて紹介します。
呼吸法を意識する
いきみ逃しのポイントは呼吸法です。以前までは、いわゆる「ヒッヒッフー」の呼吸を行う「ラマーズ法」が主流でしたが、近年ではあまり用いられなくなり、「ソフロロジー法」と呼ばれる呼吸法が主流となっています。
ソフロロジー法は、強く長く息を吐くことで体をリラックスさせるものです。息を吐ききれば自然に吸い込むため、呼吸を止めることなく体の力を抜いていきみ逃しを行うことができます。いきみ逃しの際には、呼吸を意識して赤ちゃんにしっかりと酸素を送ることが大切です。
腹圧をかけないようにする
いきみ逃しの際には、腹圧をかけないようにするのがポイントです。いきみは強い便意に似ており、腹圧をかけて赤ちゃんを押し出そうとする働きが「いきみたい」という状態として現れます。
しかし、子宮口が開ききる前にいきんで腹圧をかけてしまうと、産道がむくんでお産に時間を要する原因になりかねません。そのため、いきみ逃しの際には、腹圧をかけず体の力を抜いて、リラックスした状態を意識することが大切です。
少しでも楽な姿勢を探してマッサージを試す
いきみ逃しをしやすい姿勢や、楽になるマッサージ方法は人によって異なります。たとえば、尾てい骨を押してほしい人もいれば、肛門をテニスボールで圧迫して欲しい人もいます。
最適な方法は実際に陣痛が起きてからでなければわからないため、少しでも楽な姿勢を探してリラックスできる環境を整えましょう。
さまざまな方法を取りながら、子宮口が開ききるのを待つことが大切です。
まとめ
いきみ逃しは、陣痛の痛みや間隔がピークに差し掛かるタイミングで行わなければなりません。ですが、いきみ逃しがうまく行えれば、スムーズにお産を進めることができます。体の力を抜くこと、呼吸を意識することを念頭に、少しでも楽な姿勢やマッサージ方法を試しながら乗り切りましょう。