高齢出産は何歳から?メリットやリスクを軽減する方法も解説

女性の社会進出や晩婚化など、さまざまな理由により出産年齢の高齢化が進んでいます。高齢出産は母体や胎児に対してリスクがあるといわれている一方で、経済的・精神的なメリットもあるといわれています。今回は、高齢出産が何歳以上を指すのか、どのようなリスクやメリットがあるかについて解説します。
目次
高齢出産は何歳から?
「高齢出産」の明確な定義はありませんが、一般的には35歳以上の出産を指すことが多く、初産であれば35歳以上、経産婦であれば40歳以上を高齢出産と呼ぶケースもあります。
厚生労働省の調査によると、2023年の総出生数727,277人のうち、35歳以上で出産した割合は30.4%に上り、女性のおよそ3人に1人が高齢出産をしていることがわかっています。女性の社会進出やライフスタイルの多様化、医療技術の進歩により、出産のタイミングは個人の選択肢として広がりを見せています。
一方で、妊娠適齢期とされる年齢は25歳から34歳頃といわれており、年齢が上がるにつれて妊娠率の低下や、妊娠・出産に伴うリスクが高くなる可能性もあります。
とはいえ、高齢出産を選択することで得られる成熟した精神的な安定や経済的基盤、育児への前向きな姿勢といったメリットも存在します。大切なのは、リスクとメリットの両方を正しく理解したうえで、医師と相談しながら自分に合った選択をすることです。
出典:厚生労働省「令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況」
高齢出産のリスク
高齢出産は、年齢に伴う体の変化から、いくつかのリスクがあることが知られています。具体的には、合併症を発症したり、帝王切開になる可能性が高まったりする点があげられます。
特に妊娠中に起こりやすいのが、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病といった合併症です。これらは自覚症状が出にくいこともあるため、日頃から体調に気を配りつつ、定期的な健診を受けておくと安心です。
また、加齢による子宮機能の低下により、前置胎盤・常位胎盤早期剝離・切迫早産・前期破水など子宮のトラブルが起きやすいこともわかっています。年齢とともに産道や子宮口も硬くなるため、帝王切開による出産が増えるだけでなく、早産・難産・流産などの確率も高くなると言われています。
胎児に関しては、先天異常のリスクが年齢とともにわずかに上昇することが報告されています。代表的な例として、ダウン症候群(21トリソミー)・エドワーズ症候群(18トリソミー)・パトウ症候群(13トリソミー)などがあります。こうしたリスクは女性の年齢だけでなく男性の加齢とも関係があるとされ、パートナーとの情報共有や、必要に応じた出生前検査について検討することもひとつの選択肢です。
高齢出産のメリット
高齢出産にはリスクがあると言われがちですが、実は年齢を重ねたからこそ得られるメリットもたくさんあります。ここでは、精神面・経済面・キャリア面から見た利点を紹介します。
精神的にゆとりがもてる
30代後半から40代での出産は、人生経験を重ねてきたことで、心にゆとりをもって育児に取り組みやすくなります。
パートナーとの関係性や自身の価値観がある程度確立されているため、子どもにも穏やかに接することができる方も多くいるようです。
経済的に余裕がある
30代後半〜40代では、仕事を通じて安定した収入や貯蓄を確保できている方も少なくありません。そのため、教育費や生活費への不安が少なく、安心して出産・育児に臨むことができます。
例えば、無痛分娩やオプション検査、私立教育といった費用のかかる選択肢にも柔軟に対応しやすく、家族全体にとっての安心材料にもつながります。
キャリアをしっかり築ける
これまでに積み上げてきたキャリアがあることで、出産後も仕事に復帰しやすく、職場からの理解も得られやすい傾向にあります。
また、出産を経験したことによって得られる新たな視点や価値観を、仕事に活かしていく方も多く見られます。人生のステージが変わっても、自分らしい働き方を実現できるのは、高齢出産ならではの利点のひとつです。
高齢出産のリスクを軽減するには?
高齢出産のリスクを少しでも軽減し、出産に備えるには、規則正しい生活を送りバランスの取れた食事を摂ることが大切です。妊娠中は体重のコントロールが重要となるため、高タンパク・低カロリーの栄養豊富な食材を使って、塩分を控えめにした食事を摂るようにしましょう。加えて、十分な睡眠をとり、翌日に疲れを残さないよう心がけることも大事です。
また、適度な運動をすると過度な体重増加を防げるだけでなく、リフレッシュやストレス発散にもつながります。ストレスは自律神経の働きを弱め、ホルモンバランスが崩れたり分泌低下につながったりする原因にもなり得ます。できるだけストレスを溜めないようにし、リラックスできる方法も見つけましょう。
高齢出産に該当する年齢で妊娠を希望する場合は、早めに医療機関で検査を受け、妊娠・出産に影響を及ぼすような病気の有無を確認しましょう。必要に応じて治療を受け、妊娠期間中も定期的な妊婦健診で胎児の発育を見守るとともに体調管理に努めましょう。
まとめ
高齢出産を希望する場合、母体や胎児にかかるリスクを十分に理解しておく必要があります。年齢が上がるにつれ、妊娠の可能性は徐々に低下する傾向がありますが、近年は医療の進歩により妊娠・出産に対するサポート体制も充実していますし、年齢を重ねているからこその精神的・経済的なメリットもあります。
妊娠を希望する段階から、乳がん検診・子宮がん検診・風疹抗体検査など、関連する健康診断を定期的に受けておくと安心です。ご自身の体調や生活環境を見直し、少しでも気になる点があれば、早めに医療機関に相談することもおすすめします。自分に合った健康管理を行うことで、より安心して出産を迎える準備ができるでしょう。