妊娠中に刺身はNG?妊婦さんが知っておきたいリスクと食べられる魚の目安
妊娠中に刺身を食べてもよいのか、不安に感じる方は多いでしょう。刺身は身近な食べ物ですが、妊婦さんの場合は食中毒や水銀など、注意すべき点があります。今回は、妊婦さんが刺身を避けたほうが良い理由や注意点、安全な選び方をわかりやすく解説します。
目次
妊婦さんが刺身を控えるべき理由

妊娠中に刺身を控えたほうがよいとされるのには、いくつか理由があります。
食中毒のリスク
妊娠中は免疫機能が通常とは異なり、食中毒にかかりやすく、重症化しやすい状態です。刺身は加熱されていないため、細菌や寄生虫によるリスクが高まります。
リステリア菌やサルモネラ菌、アニサキスなどに感染すると、下痢や嘔吐、発熱といった症状が起こります。これらの症状は母体の体力を大きく消耗させ、脱水や子宮収縮を引き起こす可能性もあります。 特にリステリア菌は妊婦さんが感染すると、胎盤を通じて胎児に影響を及ぼすことがあり、流産や早産のリスクが指摘されています。
水銀のリスク
魚介類に含まれる水銀にも注意が必要です。水銀は魚の種類によって含有量が異なり、特にマグロ類やカジキ類などの大型魚ほど体内に蓄積されやすい特徴があります。
妊娠中に水銀を過剰に摂取すると、胎児の脳や神経の発達に影響を与える可能性があるとされています。そのため、刺身そのものが問題というよりも、「どの魚をどのくらい食べるか」が重要になります。
妊娠中の刺身で注意すべき食中毒の種類と症状

刺身によって起こる食中毒は複数ありますが、主に下記の5つの食中毒について把握しておくとよいでしょう。
サルモネラ菌
サルモネラ菌は生の魚介類や調理環境から感染することがあります。潜伏時間は食後6〜72時間で、下痢、腹痛、嘔吐、発熱などが主な症状です。 妊娠中は軽症でも無理をせず、発熱や下痢が続く場合は早めに医療機関を受診することが大切です。
黄色ブドウ球菌(毒素型)
黄色ブドウ球菌は、調理者の手指などから食品に付着することがあります。潜伏時間は1〜6時間と短く、強い吐き気や嘔吐、腹痛が特徴です。 下痢は比較的少ないものの、嘔吐が続くと脱水を起こしやすいため、水分補給を心がけ、症状が強い場合は受診しましょう。
ノロウイルス
ノロウイルスは非常に感染力が強く、冬場を中心に流行します。潜伏時間は1〜2日で、激しい嘔吐や下痢、腹痛、微熱などが見られます。 妊娠中は症状が重くなりやすいため、自己判断せず早めに医師へ相談しましょう。
アニサキス(寄生虫)
アニサキスは魚介類に寄生する虫で、刺身による食中毒の代表例です。胃の場合は数時間〜10時間、腸の場合は数日後に、激しい腹痛や吐き気が起こります。 強い痛みがある場合は我慢せず、速やかに医療機関を受診してください。
リステリア菌
リステリア菌は潜伏期間が数日〜数週間と長いのが特徴です。発熱や頭痛、倦怠感など、風邪やインフルエンザに似た症状が現れます。 妊娠中は微熱程度でも必ず医師に相談し、自己判断しないことが重要です。 いずれも、周囲への感染予防のため、医療機関にかかる場合は事前に電話で相談しましょう。
水銀が多く含まれる魚と妊婦さんの摂取量の目安
水銀を多く含む魚として、マグロ類やサメ類、イルカ類、深海魚類などがあげられます。 水銀の摂取量は1回約80g(刺身1人前または切り身1切れ)を目安に、魚の種類によって食べる頻度が異なります。 ※1週間に水銀量1個までが目安です。
| 1回80gに含まれる水銀量 | 代表的な魚介類の例 | 食べる量の目安 |
|---|---|---|
| 半個 | キダイ(レンコダイ)、マカジキ、ユメカサゴ、ミナミマグロ、ヨシキリザメ、イシイルカ、クロムツ | 週2回まで(160g) |
| 1個 | キンメダイ、メカジキ、クロマグロ(本マグロ)、メバチマグロ、エッチュウバイガイ、ツチクジラ、マッコウクジラ | 週1回まで(80g) |
| 2個 | コビレゴンドウ | 2週間に1回まで(週約40g) |
| 8個 | バンドウイルカ | 2ヶ月に1回まで(週約10g) |
出典: 厚生労働省「これからママになるあなたへ お魚について知ってほしいこと」 また、キハダ、ビンナガ、メジマグロ、ツナ缶、サケ、アジ、サバ、イワシ、サンマ、タイ、ブリ、カツオなどは特に注意が必要でないため、通常量で問題ありません。
妊婦さんでも食べられる刺身と避けるべき刺身
妊娠中でも刺身を楽しむことは可能ですが、魚の種類によっては注意が必要です。水銀の含有量や食中毒のリスクを踏まえ、以下のような選び方が推奨されます。
食べられる刺身、生食
低水銀の魚:サーモン、真鯛、小型の白身魚などは比較的安全に食べられます。 冷凍処理済みの魚:アニサキス対策として、十分に冷凍処理された魚※を選ぶと安心です。 加熱済みの寿司ネタ:蒸しエビ、穴子、うなぎなどは加熱されており、妊娠中でも安全に食べられます。 ※−20℃以下で24時間以上 参照元:内閣府 食品安全委員会 アニサキス対策について
避けるべき魚介類
食中毒リスクが高いもの:牡蠣などの二枚貝、生のエビ、イカ、タコなどは食中毒のリスクがあるため避けましょう。 水銀量が多い魚:キンメダイ、メカジキ、クロマグロ、メバチマグロなどは水銀含有量が高く、摂取量(週80gまで)を厳守する必要があります。
妊娠中に刺身を安全に食べるための選び方

妊娠中でも工夫次第でリスクを下げることができます。 加熱調理や冷凍処理された魚を選び、信頼できる店舗を利用しましょう。屋外イベントや長時間放置された刺身は避け、体調が優れない日は生ものを控えることが大切です。 ただ、しっかり対策を取っていても、食中毒のリスクを完全になくすことはできません。発熱や嘔吐、下痢、腹痛が現れた場合は、迷わず医療機関へ相談してください。
まとめ
妊娠中に刺身を控えるべき理由は、食中毒による重症化や胎児への影響、水銀摂取のリスクがあるためです。ただし、魚の種類や量、選び方を意識すれば、安心して食べられます。妊娠中の体調を考慮し、無理のない範囲で取り入れるとよいでしょう。