胎嚢とは?確認できる時期や確認できない場合の原因を解説

妊娠を希望して調べているうちに、「胎嚢」という言葉を初めて知ったという方もいるのではないでしょうか。妊娠は初期段階で胎嚢を確認することから始まるため、出産に向けての最初のイベントともいえます。今回は、胎嚢の基礎知識や確認できる時期、胎嚢が確認できないときの対処法について解説します。
目次
胎嚢とは?
そもそも胎嚢(たいのう)とは、妊娠初期に子宮の中で赤ちゃんを包んでいる袋状の組織のことです。胎嚢は羊膜、絨毛膜、尿膜、卵黄嚢(らんおうのう)という4つの層で構成され、赤ちゃんを衝撃から保護したり、胎盤ができるまで赤ちゃんの栄養補給源になったりと、それぞれ重要な役割を担っています。
胎嚢は受精卵が子宮内膜に着床した地点に作られるため、産婦人科で妊娠しているかの確定診断を下す上で非常に重要な要素です。胎嚢を超音波検査で見ると黒い円や楕円形で映り、さらに週数が進むと心拍も確認できるようになります。
胎嚢が確認できる時期はいつ?
胎嚢が超音波検査で確認できるようになるのは、妊娠5週目ごろが目安です。
初期の大きさは1cm程度と小さいですが、1日に1mmずつ徐々に大きくなっていきます。ごく初期の時点では真っ黒で空洞のように見えますが、胎嚢が大きくなるにつれて「胎芽」と呼ばれる小さな赤ちゃんの影が見えるようになります。
産婦人科の検査で胎嚢が確認できれば、受精卵が子宮内に正常に着床して赤ちゃんが育ち始めているということです。
妊娠検査薬で陽性が出たことが受診のきっかけだったという方も多いと思いますが、妊娠検査薬は胎嚢ができる前に陽性反応が出ることも多くみられます。正常に妊娠しているかどうかは市販の検査薬では判断できないため、必ず産婦人科で検査を受けましょう。
胎嚢が確認できないときに考えられる原因
妊娠の可能性があって受診したものの、胎嚢が確認できなかったという経験がある方もいるのではないでしょうか。ここでは、胎嚢が見えなかった原因を解説します。
産婦人科を受診するのが早すぎた
胎嚢は妊娠5週目ごろから確認できるようになるため、4週目だと確認できない場合があります。
生理周期がきちんと定期的に来る方だと、数日遅れただけで妊娠の可能性に気づき、すぐに受診してしまう方もいるでしょう。ただ、あまり早く受診しすぎても、胎嚢が十分に大きくなっておらず、検査してもよく見えないこともあるのです。
月経不順などが原因で生理周期が乱れている場合も同様に、排卵が遅れることで胎嚢が確認できる状態になっていない場合があります。
子宮外妊娠や化学流産の可能性がある
生理周期も順調で、十分な週数が経っているにもかかわらず胎嚢が確認できない場合は、子宮外妊娠や化学流産の可能性も否定できません。
子宮外妊娠は異所性妊娠とも呼ばれ、卵管など子宮以外の場所で着床してしまった状態です。放置すると破裂して大量出血を起こすおそれもあるため、妊娠の継続が不可能とされています。ママの命を守るために、外科手術で妊娠を終了させる必要もある事態です。
化学流産は、卵子と精子が受精しても正常に着床できなかったり、着床した後に継続できずに流産してしまったりした状態を指します。
化学流産は厳密には妊娠や流産ではなく、生理の遅れのひとつとして扱われています。気づかずに生理が遅れているだけだと思っているケースも少なくありません。
胎嚢が確認できない場合はどうする?
産婦人科を受診しても胎嚢が確認できなかった場合は、1週間後にもう一度受診してみましょう。たまたま排卵日がずれているだけで、週をずらせば胎嚢が見えることもあるため、初回の受診で確認できなくても焦らず待つことも大切です。
再検査をしてもまだ胎嚢が確認できなかった場合は、子宮外妊娠や流産が起きているかもしれません。経過観察しながら、適切な処置を検討する必要があります。
胎嚢が確認できる妊娠初期は、ホルモンバランスの変化によってメンタルが不安定になりやすい時期です。不安や疑問があれば医師や助産師、看護師などに遠慮なく相談しましょう。
まとめ
胎嚢は赤ちゃんが育っていくために必要な組織で、妊娠5週目以降に超音波検査で確認できます。早い段階で受診したり、生理周期が不規則だったりすると見えないことも多いため、妊娠5~6週目頃に受診しましょう。
胎嚢の確認は、出産へのスタートラインに立った証といえます。医師や看護師のアドバイスをもらいながら、今後のマタニティライフを無理なく過ごしていきましょう。